バーニング 4

バーニングは今、役者の分野で、猛烈に焦っている。タレントの視聴率が取れなくなってきている・・こんなことは今にはじまったことではない。実際、企画、脚本に依存することなく、本人のキャラクターだけで数字が取れるというタレントというのは、現在、キムタク等、数えるほどしかいない。どんな巨大な事務所でも、事務所に一人いるかいないか、それでも、いないことのほうが多い。芸能界至上でも、歴史的に見て、そのような人物は裕次郎等、数えるほどしかいない。ましてや、いくら巨大なバーニングとはいえ、そういった人間が複数いるはずがないのだ。
実は、個人で”脚本、企画力がダメでも、キャラクターのみで視聴率を取ることのできる役者”というのは存在しなく、”(脚本、企画力がしっかりしている等の理由で)視聴率を取ることができそうなドラマに出られる役者がいる”というのが正しい。キムタクでさえ、視聴率の取れる企画、脚本、それを今まで選んできたからこそ、あるいは選ぶ政治力が、事務所、本人にあったからこそ、キムタクブランドを確立することが出来たわけで、企画、脚本がマズイドラマでも、キムタクのファン層でカバーできて、視聴率が取れたかというと、そういうわけではない。自分で、視聴率の取れそうな企画を選んできたからこそ、”キムタクのドラマは、視聴率的にハズレ無し・・じゃあ、今回も彼の出演作を見てみよう(作ってみよう)”・・と視聴者、製作者双方に思わせ、いままで、キムタクブランドを確立できていたわけだ。一流ブランド品が、今まで最高の作品を作りつづけていたのに、急に粗悪品を作りだしたら、ブランド力は落ちる、それとおなじことであって、キムタクが出演作に駄作を選んだのなら、キムタクブランドは一挙に崩壊すると思われる。
ところが、バーニング、あるいはオスカーには、それが全くわかっていなかった。視聴率が取れる役者=個人で数字を取れる役者と短絡的に思い込んだ。前に言ったようにこれは大間違いで、=数字を取れるドラマに出続けている役者というのが、正解なんだが(勿論、その役者が良作に出つづけていられるかは、事務所の力といった政治力というより、演技力や、今までの信頼、実績が認められたということの方が大きい)。だから、とにかく傑作に出ないことにはどうしようも無いわけで、いくらタレントをドラマにねじこんだところで、また、CM、ワイドショーで露出を繰り返して、知名度を上げたところで、出演した作品が駄作だったのならば、永久に視聴率が取れる役者というブランドは確立できない。
だから、今までバーニング、オスカーのやっていた、とにかく顔を売って、知名度上げて、マスコミ対策してイメージあげて、視聴者に、そのタレントと目当てでドラマを見てもらおうとして・・・といった方法は、一切無駄だったというわけだ。いくら知名度があっても、肝心のドラマの内容がダメであれば、○○その人どんなドラマ出てた?へえ、それ面白かった?何、つまんない・・・じゃあダメじゃねえか・・・で、終わってしまう。誰もドラマを見ようともしない。売名にさえならないのだ。ギャラをもらったのならばまだ採算が合うが、顔見世と割り切っての、低ギャラのごり押しであれば悲惨だろう。しかし今までバーニングはこういうやり方をやってきたのだ。それがある程度成功していたのは、例え、すぐ消える一発屋連続であろうとも、あとからあとから同じようなのが次々出てきて、すぐ補充できたからである。それでサイクルはうまくまわっていた。だが世間も騙されにくくなってきて、またタレントたちも、自分のそういう売り出され方に疑問をもってくるようになった。双方とも騙されなくなってきたのだ。ファンや製作者にからくりを見透かされ、そのサイクルが立ち行かなくなってきて、バーニングは、いきづまりを見せはじめてきたというのが、現在の状況なのである。

バーニング 5

しかし、女優の場合、”数字取れそうな企画、脚本のドラマに出る”・・ということより、”数字取れそうな企画、脚本に出られる男優のドラマにヒロイン役で出させてもらう”といった方法を取る方が手っ取り早い。つまりキムタクに代表される男優の信頼を勝ち取るということである。相手役として認めてもらう、名コンビ、相方、ペア、息の合ったヒロイン役・・・こういった実績、評価を積んで、相手男優の事務所、本人双方の信頼を勝ち取って、これからもドラマで一緒に出させてもらいやすいようにする・・・そういうことである。

相手役で最大の戦略的価値の高い座が、キムタクのような”数字の取れるドラマに出る力のある男優”との共演ならば、その所属事務所のジャニーズ所属男優は”ドラマ制覇への足がかり”である。ジャニーズ相手役を制する者は、ジャニーさんはじめ、ジャニーズ上層部の信頼を勝ち取って、いずれは、キムタクを制すことができる、キムタク制する者は、いずれドラマを制すことができるだろう・・この流れがただしければ、ジャニーズ共演者からの信頼は、いまのところ、計り知れない戦略的意味を持つ。

ところがバーニングは、またもやこれがボロボロなのである。スタアの恋僕だけのマドンナ等の、ジャニーズ共演ドラマによって、バーニングは、ジャニーズの信頼をいちじるしく失っているのだ、双方の責任のなすりあいで、足の引っ張り合いさえ起こしている。制作陣の、士気の低下などの影響も、はかり知れないものがある。

ところが、これがバーニング以外のマスコミに影響力の無い中堅、弱小事務所所属の女優であると、あっさりとジャニーズの信頼を勝ち取ることができるのだ。事務所が大手でも、マスコミ対策をあえて行わない事務所、あるいは同事務所内に男優が豊富で、ジャニーズとの関係に、必要以上に固執する必要の無い事務所であれば、同様である。ジャニーズにとっては、余計な打算の必要が無い、腹の探り合いを必要としない、気心しれた、安心して仕事のできる相手・・といったところか。

マスコミに影響力の無い中堅・・・というはフラームのことである。大手だがあえてマスコミ対策をしない・・というのはスターダスト、男優が豊富で・・・というのは研音のことである。かえって、こういった戦略をとる事務所のほうが、ジャニーズとの信頼を勝ち取りやすく、現在躍進がつづいている。バーニングは、ジャニーズ共演ドラマという価値ある分野で、駆逐されたも同然なのだ。

フラームは、数え切れないドラマで、堂本、草薙の両剛、松潤、滝沢などの若手との共演、木村拓哉ドラマのチョイ役をこなし、ジャニーズからの信頼は絶大である。現在草薙のドラマで、小雪と共に山口沙耶香がドラマで重要な役で出演しているが、信頼の現れであろう。スターダストも竹内、柴崎、山口智子はじめ信頼は厚い。研音は、身内だけでドラマ一つのキャストを全部固められるほど層が厚いので、この市場には積極的でないが、しかし信頼でいえばバーニングよりは遥かに上であろう。同様に、それ以外の事務所、たとえば松たか子を抱えるパパドゥ深田恭子を抱えるホリプロにしても、当然ながら、いままでの実績により、信頼にかけては、バーニングを遥かに凌駕している。


(製作中)